2018年5月26日土曜日

2018年5月20日日曜日

忖度を生むリーダー 辞めぬ限り混乱は続く

(政治季評)忖度を生むリーダー 辞めぬ限り混乱は続く 豊永郁子
https://www.asahi.com/articles/DA3S13500572.html
2018年5月19日05時00分 朝日新聞 後段文字起こし

 アイヒマンというナチスの官僚をご存じだろうか。ユダヤ人を絶滅収容所に大量輸送する任に当たり、戦後十数年の南米などでの潜伏生活の後、エルサレムで裁判にかけられ、死刑となった。この裁判を傍聴した哲学者のハンナ・アーレントは「エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告」を執筆し、大量殺戮(さつりく)がいかに起こったかを分析した。

 前国税庁長官・財務省理財局長の佐川宣寿氏の証人喚問を見ていて、そのアイヒマンを思い出した。当時、佐川氏ら官僚たちの行動の説明として「忖度(そんたく)」という耳慣れない言葉が脚光を浴びていた。他人の内心を推し量ること、その意図を酌んで行動することを意味する。私はふと、アーレントがこの日本語を知っていたらアイヒマンの行動を説明する苦労を少しは省けたのではないかと考えた。国会で首相の指示の有無を問いつめられる佐川氏の姿が、法廷でヒトラーの命令の有無を問われるアイヒマンに重なったのである。

     ◇

 森友学園問題――国有地が森友学園に破格の安値で払い下げられた件、さらに財務省がこの払い下げに関する公文書を改ざんした件――については、官僚たちが首相の意向を忖度して行動したという見方が有力になっている。国会で最大の争点となった首相ないし首相夫人からの財務省への指示があったかどうかは不明のままだ。

 アイヒマン裁判でも、アイヒマンにヒトラーからの命令があったかどうかが大きな争点となった。アイヒマンがヒトラーの意志を法とみなし、これを粛々と、ときに喜々として遂行していたことは確かだ。しかし大量虐殺について、ヒトラーの直接または間接の命令を受けていたのか、それが抗(あらが)えない命令だったのかなどは、どうもはっきりしない。

 ナチスの高官や指揮官たちは、ニュルンベルク裁判でそうであったが、大量虐殺に関するヒトラーの命令の有無についてはそろって言葉を濁す。絶滅収容所での空前絶後の蛮行も、各地に展開した殺戮部隊による虐殺も、彼らのヒトラーの意志に対する忖度が起こしたということなのだろうか。命令ではなく忖度が残虐行為の起源だったのだろうか。

 さて、他人の考えを推察してこれを実行する「忖度」による行為は、一見、忠誠心などを背景にした無私の行為と見える。しかしそうでないことは、ヒトラーへの絶対的忠誠の行動に、様々な個人的な思惑や欲望を潜ませたナチスの人々の例を見ればよくわかる。

 冒頭で紹介したアーレントの著書は、副題が示唆するように、ユダヤ人虐殺が、関与した諸個人のいかにくだらない、ありふれた動機を推進力に展開したかを描き出す。出世欲、金銭欲、競争心、嫉妬、見栄(みえ)、ちょっとした意地の悪さ、復讐(ふくしゅう)心、各種の(ときに変質的な)欲望。「ヒトラーの意志」は、そうした人間的な諸動機の隠れ蓑(みの)となった。私欲のない謹厳な官吏を自任したアイヒマンも、昇進への強い執着を持ち、役得を大いに楽しんだという。

 つまり、他人の意志を推察してこれを遂行する、そこに働くのは他人の意志だけではないということだ。忖度による行動には、忖度する側の利己的な思惑――小さな悪――がこっそり忍び込む。ナチスの関係者たちは残虐行為への関与について「ヒトラーの意志」を理由にするが、それは彼らの動機の全てではなかった。様々な小さなありふれた悪が「ヒトラーの意志」を隠れ蓑に働き、そうした小さな悪が積み上がり、巨大な悪のシステムが現実化した。それは忖度する側にも忖度される側にも全容の見えないシステムだったろう。

     ◇

 このように森友学園問題に関して、ナチスに言及するのは大げさに聞こえるかもしれない。しかし、証人喚問を見ていると、官僚たちの違法行為も辞さぬ「忖度」は、国家のためという建前をちらつかせながらも個人的な昇進や経済的利得(将来の所得など)の計算に強く動機づけられているように感じられ、彼らはこの動機によってどんなリーダーのどんな意向をも忖度し、率先して行動するのだろうかと心配になった。また、今回の問題で、もし言われているように、ひとりの人間が国家に違法行為を強いられたために自殺したとすれば、そこに顔を覗(のぞ)かせているのは、犯罪国家に個人が従わされる全体主義の悪そのものではないか、この事態の禍々(まがまが)しさを官僚たちはわかっているのだろうか、と思った。

 以上からは、次の結論も導かれる。安倍首相は辞める必要がある。一連の問題における「関与」がなくともだ。忖度されるリーダーはそれだけで辞任に値するからだ。

 すなわち、あるリーダーの周辺に忖度が起こるとき、彼はもはや国家と社会、個人にとって危険な存在である。そうしたリーダーは一見強力に見えるが、忖度がもたらす混乱を収拾できない。さらにリーダーの意向を忖度する行動が、忖度する個人の小さな、しかし油断のならない悪を国家と社会に蔓延(はびこ)らせる。

 すでに安倍氏の意向を忖度することは、安倍政権の統治の下での基本ルールとなった観がある。従って、忖度はやまず、不祥事も続くであろう。安倍氏が辞めない限りは。

     ◇

 とよなが・いくこ 専門は政治学。早稲田大学教授。著書に「新版 サッチャリズムの世紀」「新保守主義の作用」。

2018年5月6日日曜日

「不正選挙なんて無い」と思っている、天使のようなあなたへの10の質問

Q:現在、自民党政権はさまざまな疑惑を向けられているにも関わらず、木で鼻をくくったような対応をしています。彼らが次の選挙で負ける可能性を考慮に入れていると思いますか?

Q:過去、政権交代がありえなかった55年体制においても、自民党が国民を舐めたふるまいをすると自民党支持層でさえ「お灸を据える」投票行動をとり、自民党が負けていました。なぜ第二次安倍政権でだけその現象が起きないのだと思いますか?

Q:共謀罪は「時の政権」に逆らう人を好き勝手に監視・逮捕・拘留できるチート法です。自民党や公明党が、将来、自公以外の政権が共謀罪を使って自分たちの支持団体を攻撃する可能性を考えなくて済む理由は何だと思いますか?

Q:東京都知事選では石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一、小池百合子の得票数は、各選挙区でぴったり同じ比率になっています。これは生徒会選挙に例えてみると、歴代生徒会長に票を入れた人の比率が常にクラスごとに一定であったようなものです(ある年で生徒会長になった人にA組で投票した人の数がB組の2倍、C組の半分だったら、次の年もその次の年でもB組の2倍、C組の半分)。偶然の一致だと思いますか?

Q:小泉政権下で導入された期日前投票制度では、投票日よりも前に投じられた票を当日票とよく混ぜてから数えることになっています。なぜそんなルールがあるのだと思いますか?

Q:似た筆跡の票が大量にあるという理由で立ち合い人がハンコを押すのを拒んだ例があります。なぜこんなことが起きるのでしょうか?

Q:何万枚もの投票用紙が誤廃棄された事件が報道されたことがあります。単なるミスだと思いますか?

Q:三重県の投票所でなぜか滋賀県の投票用紙で投じられた票が一枚だけ見つかった珍事がありました。どういう経緯でそんなことが起きたのだと思いますか?

Q:大阪堺市の票集計プログラムにはバックドアが仕込んであると報じられています(40分くらいから。50分くらいにバックドアの話)。外部からデータを書き換えられるように最初から作ってあったわけです。何のためにそんなことをしたと思いますか?

Q:安倍総理が森友問題や加計問題で頑なに資料を出すのを拒んだのを見て、多くの人が「やましいことがあるから隠すのだ」という感想を持ちました。常識的な推論だと思います。ところで、数多く起こされた不正選挙裁判では一度も保管されている投票済み用紙の調査(再開票)を裁判所が命じたことがないのですが、どう思いますか?

2018年4月25日水曜日

18歳と81歳


Spicy ramen with soft boiled egg


冷え症

心の問題が原因の冷え症もある
伊藤 四肢末端型の冷え症が若い女性に多い理由の1つに、ダイエットがあります。食事を節制しているために熱源がなく、運動不足で燃やすものもない。そのままでは体温が下がってしまうので、寒さに過剰に反応し、熱が逃げないようにしているわけです。
 これと真逆なのが、副交感神経優位の内蔵型です。寒くても手足の血流は良いから温かいのだけれども、熱がどんどん外に逃げて行って、体の中心部の体温が下がっていってしまう。副交感神経優位で交感神経の弱い人の他、内臓手術で癒着がある人ではお腹の血流が悪いため、内臓型冷え症になることがあります。
 先ほど解説した冷え症の主な分類は冷えの分布に基づくものでしたが、このほか「隠れ冷え症」のような特殊な冷え症もあります。その1つが心因的原因による冷えで、私は「心の冷え症」と呼んでいますが、これは本来の冷え症と区別して考える必要があります。ストレスや神経症、うつ病などで冷えに過敏になる人は昔から存在し、江戸時代の看護書『病家須知』にも、気分が晴れない状態が続くと冷えを感じるといった記載があります。
 心の冷えに対しては、寒熱の治療に先んじて心因的要素を軽減する治療や心身症に対する治療を行うことで、冷えの改善も得られやすくなります。
 最近言われる「低体温」についても、少し触れておきます。
 低体温とはもともと35℃未満を指す言葉でしたが、最近は広義で35℃台の体温を呼ぶ場合もあります。50年前の子供より現在の子供の体温は1℃低下しているという報告もあり、だんだん体温は下がっているような印象は確かにあります。
 ただし、低体温化の傾向に、デジタル体温計の普及が影響している可能性は否めません。昔の水銀計はある意味正確な数字でしたが、現在は予測体温です。予測体温計は、発熱時に使用する分にはあまり問題はありませんが、低い温度は苦手です。現在言われている低体温化にデジタル体温計の測定誤差が関与していることは考慮すべきでしょう。
冷えの対策には運動が有効
 冷えの主な原因は、熱産生の低下、温度調節障害、放熱過多の3つに分けられます。熱産生の低下には基礎代謝低下や食事の問題、運動不足などが、温度調節障害には血流が大きく関わっています。放熱過多の原因としては、皮下脂肪組織減少による保温力低下、発汗増加などが挙げられます。
 熱産生の低下に対してはカロリー摂取と運動、温度調節障害に対しては血行不良の改善、放熱過多に対しては保温といった対策が必要です。中でも運動は、熱産生の低下以外にも通じる「冷え」の有効な対策となります。例えば、筋運動を行うと安静時の3倍相当の熱が作られることが知られています。
 少し脱線しますが、体温調節に重要な要素として「ふるえ熱産生」があります。寒いとガタガタ震えてしまう、悪寒のことですね。この現象は、体温を維持するために骨格筋が不随意かつ周期的に起こす収縮で生じます。運動の筋収縮による体熱量の増加が20%であるのに対して、ふるえの筋収縮はおよそ50%にもなります。高熱時に起こる悪寒は、ウイルスなどの細菌を体温上昇によって殺そうとする合目的反応です。その反応を解熱剤でむやみに下げてしまうのは感心できない――という話につながります。
ショウガで体温は上がらない?!
 さて、巷では「体を冷やす食べ物」とか「温める食べ物」という言葉がよく聞かれます。これらは実際にはまやかしが多く、検証されているものはほとんどありません。
 例えば、唐辛子は確かに体温を上げますが、体温が上がり汗をかいたあとは、確実に体温が下がります。下図のグラフにあるショウガ(生の生姜)も、言われるように体温を上げるわけではありません。
 同様に、「体を冷やす食べ物を食べると冷え症になる」というのも根拠のない話です。もちろん、アイスクリームなど冷たいものをたくさん食べて、内臓を一時的に冷やして、下痢やお腹が痛くなることはありますが、冷え症の原因ではありません。
 栄養素の中で産熱反応が最も多いのは蛋白質です。炭水化物は体内でブドウ糖に分解され、その一部がグリコーゲンとして筋肉に蓄えられますが、熱を作り出すためには運動して筋肉を動かす必要があります。江戸時代の人は炭水化物ばかりの食事で、蛋白質不足の状態でしたが、現代とは運動量がまったく違う生活をしていました。蛋白質はじっとしていても熱を作りますが、炭水化物を摂取したら「動く」を心掛けて下さい。
漢方の生姜は整腸作用を目的に用いる
 ショウガの話をもう少ししておきましょう。新生姜とひね生姜は食卓でお馴染みですが、漢方で用いるのは生姜の皮を除き乾燥処理をした「乾生姜」です。少しややこしいのですが、この乾生姜のことを日本の漢方では生姜(ショウキョウ)と呼んでいます。乾生姜はいろいろな漢方薬に入っていますが、目的は体を温めることではなく、胃腸の働きを整えることです。昔は生姜を長時間蒸して、さらに天日干ししたのが「乾姜(カンキョウ)」となります。
 ジンゲロールとショーガオールはショウガの成分として知られますが、この2つの成分には逆の作用があります。
 ジンゲロールは、私たちが食べる新生姜やひね生姜に多く含まれており、TRPA1という冷受容体とTRPV1という温受容体を同時に刺激します。生姜を食べて温かい感じがするのは温受容体を刺激するため、温感を生じるためなのですね。
 ちなみにジンジャーエールは、冷受容体を刺激する清涼飲料で、体を温めるための飲み物ではありません。冷受容体を刺激するのはメントールも同様ですが、これは冷感を感じているだけであって、体を冷やしたり、体温を下げたりしているわけではありません。
 一方のショーガオールは乾姜に豊富に含まれており、唐辛子に含まれるカプサイシン同様に体温を上げる作用を持っています。
 以上、寒熱と冷えについて、基本的なところをお話ししました。寒、熱、冷えともに背景にはいろいろな病態があり、それぞれに対処法が異なります。「誤治」を起こさないためには患者さんの状態をよく観察し、それぞれの特徴を捉えることが重要です。

2018年4月24日火曜日

国家戦略特区 税金をむさぼるシステム

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特区構想のひとつである株式会社立高校では、国から学校に支払われる就学支援金を当て込んで、幽霊生徒でぼろ儲けしている実態がありました。国家戦略特区は、それがバージョンアップされて形を変えただけ。加計問題の本質も構造改革特区の問題の延長にすぎないのです。

国家戦略特区とは規制緩和です。教育特区を活用した株式会社立高校ではろくに勉強せずに卒業できる仕組みになっているなど、規制緩和による弊害があり、それを検証しようと思いました。そこで特区制度で2017年4月に新設された千葉県成田市の国際医療福祉大医学部を取材すると、土地の無償貸与と補助金をめぐり、地元から「おかしいよね」という声が多数あることが分かりました。

加計理事長は第1次安倍政権の前から千葉科学大で獣医学部をつくろうとしていました。おそらく加計理事長は安倍首相と獣医学部新設についてずっと密に連絡を取り合っていたと思います。加計問題がこれほど大騒ぎになっていなければ、もしかしたら愛媛と千葉に2つの獣医学部ができていたかもしれません。

霞が関官庁というよりも、安倍首相に近い取り巻きの人たちでしょう。例えば柳瀬さんだけでなく、首相秘書官の中で経産省グループは財務省よりも突出して首相に対する忠誠心が高い。衆院予算委でやはり経産省出身の佐伯耕三首相秘書官が野党議員にヤジを飛ばしていましたが、首相を守るという強固なスタンスが一貫していますね。

おそらく財務省の中で、安倍首相に覚えめでたい経産省よりも「後れをとっている」という強い危機意識があるのではないでしょうか。推測ですが、森友問題は、財務省が経産省に対抗し、首相に対してアピールしたために問題が起きたのではないかと思っています。

安倍首相などの興味は、ビジネスというよりも教育勅語に象徴されるような愛国心を植えつける教育です。どう実現していくかを考えた時に利用したのが規制緩和。つまり教育の自由化です。小泉政権からの流れですが、特区制度を活用した株式会社立の学校も含め、新規参入を容易にする仕組みづくりに力を入れてきた。その過程で公私混同というのか、さまざまな思惑が絡み、問題が起きたのだと思っています。

国家戦略特区の場合、内閣府の藤原豊元次長が音頭をとって、その上に和泉洋人首相補佐官がいて、方向を決めて導いていった。こういう仕組みを変えない限り、加計問題のような事態はまた起きるでしょう。
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